CIC コモン・インバータ・コントローラ
特徴
- 高速プロセッサでらくらく制御アルゴリズム実装
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メインプロセッサとしてルネサス社のスーパースカラプロセッサ(SH2A-FPU)を採用。浮動小数点の高速演算処理により複雑な制御アルゴリズムでも固定小数点などにみられるスケーリングを気にせず実装可能です。
SH2Aコアの特性を生かしハード/ソフトの両面から徹底した低オーバヘッド化を行っています。
また電源制御はもとよりその高速演算能力を生かしてバッテリー模擬、太陽光パネル模擬など物理演算も平行して実行可能です。
大容量のメモリ(SD-RAM32Mbyte)に波形データなどをダウンロードすることも可能です。
- CICソフトライブラリによる制御ロジックの部品化で開発期間を短縮
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ライブラリでは各種相変換、座標変換、空間ベクトル変調などサポート。また実行部と係数セットアップ部が分離し部品化されたPID、一次遅れ進みフィルタ、IIR/FIRフィルタ、FFTなどが使用可能です。
また3相システム向けに係数を共有する2変数タイプのPID、フィルタなども使用可能。すべてコンパイラに合わせて最適化ずみです。
さらにこれらはパワーエレクトロニクスシミュレーションソフト上でも完全互換のライブラリとして使用可能となっておりシミュレーションと実機間の相互検証が容易に行え開発期間の短縮に寄与します。
- CICソフトプローブによる高速波形モニタリング
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デジタル制御では変数の挙動を如何にして把握するかが重要な課題です。
CICでは16点のfloat変数を同時にサンプリングしてPCに転送し波形モニタリングすることが可能なソフトプローブエージェントを搭載しています。一般的なUDPプロトコルによりPCに向けて送出されるデータ帯域は制御周波数30kHz時に2MByte/secに達しますがDMAとLANコントローラのオフロードエンジンを活用することでCPUのオーバヘッドは3%以内となっています。またLANにより簡単にPCに接続できます。
CICソフトプローブビューワではデジタルオシロクラスの高いフレームレートで波形を表示します。
- 高信頼のリアルタイムOS(ITRON)と制御アルゴリズムを同時使用
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電源のシーケンス、通信制御(TCP/IP)、ヒューマンインターフェイス(タッチパネル表示器通信)などを実装するためリアルタイムOSのタスクを同時に搭載しています。
制御アルゴリズムはリアルタイムOSの管理外で最優先で動作します。信頼性の高いリアルタイムOSとネットワーク能力により安定した制御をすばやく構築可能です。
またソフトウェアで使用する変数はオブジェクト化され制御アルゴリズム、タッチパネル、CICソフトプローブ、シリアルコンソール、EEPROMから透過的に扱える構造になっています。
- 高精度ダイレクト電圧計測で部品点数を削減
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3相電圧計測(1ch)、直流電圧計測(2ch)をボードにダイレクト接続可能。外部に高価な電圧トランスデューサやブリーダ抵抗、アナログ絶縁アンプは不要です。
高リニアリティで特性が保証された16bitシリアルADCはデジタルアイソレータによりCPUロジック部および各チャンネル間で絶縁されています。また高インピーダンス差動入力によりMax±800Vまで直接入力可能です。
このほかに弊社標準トランスを使用した3相電圧計測(100/200/400Vrms)も2ch同時に使用可能です。
- 電流計測もセンサを手軽にダイレクト接続
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オープンループ、クローズドループ(CL)などホール素子を使用した電流センサを最大8ch接続可能です。
CL型の電流センサに対しては電圧変換抵抗をボード上に実装可能です。これらの電源として±15V電源を搭載しています。ADCは全チャンネル同時変換の16bit分解能バス接続タイプを採用しています。6chのうち3chには高速過電流検出のためアナログコンパレータが接続されています。過電流コンパレータのしきい値はDACによりボリュームレスで変更可能です。
2次電流の大きなCL型センサを使用する場合は外部±15V電源が必要になります。
- 多彩で豊富な通信インターフェイス
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CPUロジック部とデジタルアイソレータで絶縁されたRS-232Cを2ch、RS-422を1ch、CAN I/Fを1ch実装しています。また非絶縁のCAN I/Fを1ch実装しています。これらに加えてLANコントローラを搭載しています。
CICソフトプローブエージェントを使用しない場合はリアルタイムOSのTCP/IPスタックを有効にしてPCと各種通信が行えます。RS-232C/RS-422通信はDMAを使用したCPUオーバヘッドの少ない通信ライブラリを使用可能です。
※CAN I/Fに接続可能なGP-IB I/Fボード(オプション)
※CAN I/Fに接続可能なアナログ入出力I/Fボード(オプション)
- デジタルI/Oも豊富
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デジタルI/O(トランジスタ出力16点、DC電圧入力24点)を搭載しています。
CPUロジック部とはデジタルアイソレータで絶縁されています。出力、入力ともコモンは共通です。出力16点のうち2点には信号用リレーが接続されておりステータス接点出力としても使用可能です。デジタルI/OはCPUによるシリアル-ラッチ制御で定期的に更新し、CPU停止時また電源投入時に出力が不定になることを防ぐためリセットICが搭載されています。
※CAN I/Fに接続可能な拡張デジタルI/Oボード(オプション)
- CPU停止時のブロック付きPWMゲート出力
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3相3アームが構成できるPWM出力を1ch装備しています。
弊社標準のIGBTまたはIPMモジュール用ドライバボードに接続可能です。このPWM出力は過電流コンパレータおよびCPUが定期的に更新しなければならないウォッチドッグタイマによりブロックされます。デバッグのためCPUがブレークした場合などは直ちに全ゲートがオフとなり安全な状態となります。
- ユーザーI/Fとして市販のタッチパネルを使用可能
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デジタル社、三菱電機、キーエンス社などの市販のタッチパネルと通信できるライブラリを整備済みです。
用途やコストに合わせてカラー、モノクロ、画面サイズを選択可能です。
また設定値をリニアに可変するためにジョグダイヤルのI/Fも備えています。
- その他の機能と仕様
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電源障害などのイベントが発生した時刻を記録するためにカレンダクロックを搭載しています。
ゲイン、オフセット、通信関係の設定などを保持するためEEPROMを搭載しています。
LAN/RS-232C経由でファームウェアを更新することが可能です。
ボードを動作させるために必要な電源は単一の24V電源のみです。
ボード外形は200mm×170mmとコンパクトです。
- 成熟した大容量インバータ/コンバータ主回路技術との相乗効果
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弊社は長年にわたりUPS、周波数変換器などの製品を手がけており電気設計から筐体設計、組立製造まで一貫して社内で行えるメーカです。
これらに必要な部品選定や熱対策、ノイズ対策、レイアウトなど主回路に関するノウハウは多数の製作実績を経てのみ蓄積しえる技術といえます。
最新のデジタル制御電源技術はこのような主回路製造技術と合わさって始めてその価値を発揮することが可能になります。
用途
- 三相/単相インバータ(CVCF)、系統連系インバータ
- 三相/単相コンバータ、PFC(力率改善回路)、回生コンバータ
- DC/DCコンバータ、スイッチング直流電源
- 有効電力、無効電力制御システム、SVC
- 直流回生電子負荷装置、交流回生電子負荷装置
- UPS、周波数変換器、DC-ACインバータ
- 双方向電源、充放電装置、バッテリ模擬電源、太陽光パネル模擬